ポストに直接投函された手紙 

11月末に、引っ越しをして、そろそろ2か月。だんだん「我が家感」が出てきたところです。とにかく引っ越しまでは大変で、家探しから契約、内装のあれこれまで、まさに寸暇を惜しんで、身体を酷使しながらの数か月でした。ようやく落ち着いてきたかな。

ポストに直接投函された手紙

数日前のこと、ポストに切手のない封筒が。こういうのってドキドキするよね。

手紙、というかカードの差出人は、以前住んでいた家の階下に住むお兄さんだったんですよ。20代独身、医者の卵で、ザ、良いとこのおぼっちゃんという印象の。

彼は日中は不在で、夜に帰宅し早朝に出勤する日々。我が家は夜は9時前には寝てしまうから夜はうるさくないものの、休日の朝にも子どもたちはいつも通りに起きるからうるさい。築90年のアパートメントは、足音がかなり響いたから、何度も子どもたちを叱って気を使ったものだ。

さらに、洗濯物が風で下の庭に落ちて取ってもらうことも何度かあったし、彼が気の合う仲間たちとの庭での集いの最中に、チビたちがベランダから声をかけて構ってもらうとか、迷惑をかけることが多かったなぁと思う。

といってもこちらも分別はあるから子どもたちに注意もするし、クレームを言われたりトラブルになったりしたことは一度もなかったのだけど。

でもさ、若者だし、「めんどくせーなー」とか、「引っ越して静かになってよかった」とか思ってるだろうなーって思ってたの。

引っ越し後もドタバタして、結局クリスマス前に前の家の近所に挨拶に行って、
その時会えなかった人には感謝の気持ちと新居の住所を記したカードをポストに入れてきた。このお兄さんには会うことはできず、ありがとうが直接言えなかったのが心残りではある。

新居の壁はクレイで、さらに麻炭を入れたりとか。やりたいことをあれこれ詰め込んだ

手紙には、「引っ越しおめでとう」のメッセージと共に、「あなたたちは素晴らしい隣人だった」の文字が。ちょっと胸に、ぐっときた。いや、ちょっとじゃなくて、正直、涙が出るくらい嬉しかった。
徒歩10分くらいの場所とはいえ、彼が我が家の住所を調べ、何かのついでに立ち寄ってカードをポストに入れてくれたっていうことが、本当に嬉しい。

母国ではないところに住むということ

子どもたちの教育の場を海外に求め、2012年の2月2日に日本を出て、そろそろ丸7年になる。 その間に家族も増え、いくつかの国を経て、オランダに来てから丸2年が経過した。 私たちは駐在ではないし、ビザのことで追われて出国したこともないし、自分たちで「選んで」どこか日本ではないところにいる。そして、またこの後もこの国にいることを選んだところだ。(フリーランスはまず2年のビザが出て、その後5年毎の更新になります。私たちはビザの更新をしました)

いつも、どの国にいても「住まわせてもらっている」という気持ちでいようと思うし、住まわせてくれている国に何らかの貢献ができたらよいと思うし(具体的には納税になるけど)、それでも、そもそも「余所者」である感覚を持ち続けるというのは大事だなぁと思う。私たちのような移民に対して寛大なオランダ社会には感謝しかない。


物心がついてからはオランダ生活であるチビ二人には、きっとこのオランダでの暮らしが、「幼少期の思い出の地」であり「家族と暮らした場所」になるのだろう。ここで接した人から感じたものが、彼らの生きていく指針になるのだろう。そこで、子どもや弱者に優しいところや、笑顔や快適さを求めるオランダの人たちの在り方は、眩しい。私たち両親が心がけてもできないような、はっとした対応をされたり、違った目線での物事の捉え方に感心させられることが日常生活の中にある。これは綿々たるこの土地での暮らしがさせるものなのかしら?なんて思ったりして。もちろん逆も然りではあるけれど。

大好きな人たち。新しい家には暖炉もあります。ちなみに1962年築

移住してすぐに苦労して見つけた家で、最初の半年は、なんとなく居心地が悪く感じていた以前の家。2年住む間に、人間関係を築くことができて、ご近所さんの家に遊びに行ったり、赤ちゃんが生まれたお祝いをしたり、自転車修理で困ったときに助けてもらったり、そうやって一歩ずつ仲良くなってきた。

あの家で暮らしたことで得た豊かな気持ちや、安心感を手放すのが嫌で、実は引っ越し前に何度か泣いたことがあったりもする(笑)

オランダに来て、たくさんの人に出会ったし、今でも仲良しな人、出会いの後特に連絡を取り合わなかった人もいるし、なんとなく疎遠になっている人もいる。日本に住んでいる時から出会ってきた人たちと作った思い出を積み上げて、私は今ここにいるんだなぁって思うんだ。だから感謝しかないです、出会ってくださったみなさんには。ありがとうございます。

新しい国で、しかもアジアではない、はじめての西洋社会で、不安でいっぱいな中で、この2年間で得てきた人とのかかわりは、特に脳に濃くプリントされている、そんな気がして。この以前の家の階下お兄さんからのカードは、そんな2年間の、人とのつながりの豊かさを思い起こさせてくれる、そんなギフトでした。

人と人が会う(合う)には、様々なタイミングがあるんだと思うんだ。人生長いんだもの。焦らずにじっと待って、縁、を、大事にしたい。

一部壁には真珠貝を入れ込んでいます。苦悩を美に変換する象徴、ですね。真珠や珊瑚が好き。

お読みいただきありがとうございます。

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