13歳でオランダの教育プログラムに編入した長男。移住してきて1年半、あと半年ほどで大きな岐路がやってきます。
移民向けクラスからblug klasそして通常のプログラムへ
中学校からの学校選択については2つの記事を書いています。
続き
その後移住してきた人や、息子の学校の様子を聞いてみると16歳、18歳くらいの年齢でも受け入れてくれる学校はあるよう。(息子の学校は16歳までだと思う、と言ってた)ただ開始年齢により選択できる進路には違いがでるようです。
ISKと呼ばれる言語習得を中心としたクラスを約1年で終了し、現在はbrug klas=bridge class という通常プログラムの橋渡しになるクラスに通っています。
オランダは小学校からcito toetsという全国共通テストがあり、中等教育進学の段階でどのコースに行くか選択が必要になります。
大学進学コースVWO
一般中等教育コースHAVO
中等職業教育コースMAVO
が主なもの。それぞれが、学ぶ年数、そしてその先に続く教育コースにも違いがあります。ひとつの学校のなかにいくつかのコースがあることが多く、中等教育に上がって1,2年は上記のブリッジクラスに所属して、その後選択をする、ということも可能。一度選択したコースも、成績や本人の希望で変更が可能というフレキシブルなものではあります。
今年度が終わるころ、7月にはブリッジクラスを卒業して、自分の進路にあったコースに進むことになります。
先日、そのための進路説明会がありました。
大学進学、将来を決める中学校の進路選択
日本の場合、将来の夢が決まっていなくても「とりあえず大学行っとけ」という風潮があると思う。大学の間にやりたいことを決めればいいんじゃない?とか。
オランダの場合、いわゆる「大学」と名の付く所に行く人は全体の10%程度。大学自体オランダ全体で20校以下と少なく、医者、弁護士、研究者など超エリートといった印象。
例えば学校の先生になりたい場合などは、VWO→universiteitではなく、HAVO→HBOという、所定の高等教育のプログラムを21歳くらいで修了してディプロマを取る、という感じ。HBOは学士、場合によっては修士が取れるということなので、これも大学同様ですかね。
自分の将来なりたい職業にあわせた進路を選択して基礎学力をつけ、16歳、17歳くらいでさらに専門的な学びを深めていくようです。
息子の通う学校は
MABO・・・3年目から技術系/ヘルスケア系/経済/農業系にわかれる(農業はないので転校)
HAVO・・・4年目から文化社会/経済社会/自然技術/自然健康にわかれ、学びを深めるとのことでした。
職業によって、必要な学びを得て修了するのは確かに効率的。職業的な専門知識というよりも、学問としてベーシックなものを学ぶという感じ。セラピストだったら自然健康やヘルスケアになるので、生物学や地球科学の知識を学ぶ必要があったり。とても効率的。
しかし、将来の進路って、そんな変わらないものなのかなぁ。
長男の学校の友人やクラスメイトの将来の夢も、医者、教師、サッカー選手、歌手、タトゥー職人まで本当に多岐に渡っているのだけど、彼らがその職業に将来就くのか??うーん。
先生はすべての子どもの将来の夢を把握していて、「なら君の進路は○○だね」とその道筋を示してくれる。その夢をかなえるために、この科目をもうちょっと伸ばしておきなさい、とか、そういう指導をくれる感じです。
まだわからないことだらけ。折を見てポストしていきますね。
wikiのオランダ高等教育についてのページを張っておきます。
内申、テスト。子どもの学力を判断するもの
学校のウェブサイトにログインすると、成績はいつでも閲覧可能。日々の小テスト、citoのような大きな統一テストのほかに、授業中の発言や積極性などのいわゆる内申点も加味される。
あとは、小学校からの先生の評価も、本質的にその進路が向いているのかどうかということを知るために重要とのこと。
先日もフランス語の成績が思ったより低かったことが納得できず、先生に直談判に行った息子。結局「質問をしてこないから」ということで内申点が低かったそう。質問したいと思うことがないのにーとぼやいていました。
美術や体育などの成績がものすごく高いわが子だけれど、それらは全く進学には関係ないのはちょっとがっかりしていました。一番足を引っ張っているのがオランダ語。今まで苦手だと思っていたのに意外に成績が良いのが数学。
努力とか、根性論ではなく、やっぱり勉強の向き不向きというのってあるのだろうし、そういうところも現実的に考えて進路を決めていくという雰囲気です
子どもの将来の夢を実現させるために親ができること
前に以下の記事の下のほうにも書いたのですが、親が子どもに「何としてでも医者になってほしい」みたいな声は実際に保護者会でも聞いたことがあります。
今回の進路相談でも先生が親の役割をしっかり明示していました。
親が子どもの将来の夢を実現させるためにできること
・子どもの将来の夢をしっかりと知ること
・本人の希望を尊重すること
・どのレベルが本人に合っているか一緒に考えること
・その実現のためにサポートすること
あくまで本人の希望と実力。どんな夢でも親はサポートしましょう!っていうのは好きだな。
最後に
早期に進路を決定してしまうことは、とてもシビアだと思っています。でも、自分自身を振り返ってみると、小さな頃になりたかった職業は今でも私の仕事の一部だし、最終的に手放したくないと思う仕事だったりもするんです。
だから、その「将来の夢」で食べていく=国に納税していく人になる道筋がきちんと明示されているのは、健康的だよなーと。そんなことを思ったりもします。
息子には、将来の夢が広がったり変わったりしていくこともあるかもしれないけれど、いつでも学びなおし、やり直しがきくから、いま学びたいことを全力で学びなさいと伝えてあります。世界を放浪してもいいし、日本やフランスの大学に行ったりしてもいいし、可能性はいくらでもあるのだから。
あまりオランダの中学校のことは日本語で検索しても出てこないので、こういうタイミングの良い時に書いておこうと思いますが、学校によって、地域によっての違いもあると思うし、教育に求めるものもご家庭によりさまざまだと思います。参考程度になさってくださいね。
こういった説明会や保護者会が全編オランダ語なのが、厳しいです。スマートボードと先生の単語を拾って、「こういうことを言ってる」っていうのはわかる部分も多いのですが、聞き逃しも多くて。親がオランダ語が分からない場合は子どもを通訳として同伴できるので、私がわからなそうな顔をしていると長男が察して説明してくれるのですが、次の3月の面談までにはもう一段階オランダ語ができるようにならなくてはなぁ。
小学校に関しては、オランダ在住ライターの倉田直子さんの本がおすすめですよー