何でも良いから仲良くしようぜ。俺たちは今、生きてるんだから。

言葉が出てこない。事務的なメールのやりとりは散々しているけれど、感情が止まってしまったような感じ。身体の中にぽっかり穴があいたような。被災地の方、近隣の方、ご縁のある方、そして、311を思い出している方。お加減いかがですか?

思い出す311。神奈川と山梨で続く余震と停電、原発事故、そして避難。

2011年の3月には、神奈川県と山梨県のちょうど県境に住んでいました。100坪の土地が付く田舎の一軒家。無農薬で育てた野菜やハーブ、春に芽吹き出した野草たち、たくさんの仲間達。生まれて4ヶ月の次男、そして、長男が1年生の学びを終える頃。

悩んだ挙げ句、確か、3月22日頃、関東を離れました。計画停電、真っ黄色のフロントガラス。近くの浄水場で放射性物質の検出、富士山、そして250キロ圏内。学校が休みになったこともあって、息子のクラスの大半がすでに一時避難済みで(我が家と2、3軒だけ残っていた)焦りながらも、「逃げる」ことが嫌で、家にずっと閉じこもっていたことを覚えています。そのまま避難先に落ち着いた方もたくさんいるし、一時避難を経て戻った方もたくさんいます。それぞれの、選択。

今までよりも、もっと自分たちの人生に対して責任を持ちたい、能動的に選択していきたい。そんな思いで、「逃げるというより家族でキャラバンをしようよ!」と前向きな気持ちで家を離れました。私たちを知る友達にはよく「避難という口実で動いた人」と笑われますが、震災、そして原発事故は、「より自分たちらしく生きる」きっかけのひとつだったと思います。

自分たちにある流れをキャッチしながら、ずっと生きることに直面し続けながら、京都、沖縄、バリ島、そして台湾と、今まで縁もゆかりも無かった土地に住まわせてもらうことができて、私たち家族。時にぶつかり合いながらも、家族の面々を一番信頼できる関係性を保ちながら、生きています。

そんな被災地から離れた場所に住んでいた私たちでも、避難という意識ではなく、自主的に、しかも家族全員で動いて生きてきた私たちでも、今回の熊本周辺で続く地震に、心が揺れ動きます。それだけ311は大きな出来事でした。

阿蘇山2011
九州も、下見に行きました。熊本、すばらしかった。でも流れがなかった。ご縁が繋がらなかった。

kumamoto
焦ればあせるほど、見つからなかった。このあとバリ島へ移住。

何もできないあなた、何もできない私。目の前にあることを大事にするしかない

311の時のように、温かく美しい言葉が出てこない。当時の投稿もいっぱい読み直したけれど、あの時よりも今の私は、確実に「スレていて」「厳しい」思考を持っているような気がする。それが、ちょっと哀しいよ。

乳飲み子を抱えて、自分や家族の世話すら満足にできなくて、たくさんの人に手を借りていたあの頃。自分のふがいなさに、世の中に全く役に立っていない加減に、本当に腹が立ったものです。生徒さんには「子育ては一番の社会貢献」って言ってたくせに。もっと大変な地域の人に何も出来ない自分への憤りは、あの時も感じていたし、5年たった今回の震災でも感じています。

それでも、人は、それぞれの役割の中で一生懸命に生きてる。人間は、決してひとりでは生きていけなくて、支えあって、生きてる。「今」は支援を受けるばかりの立場かもしれないけれど、「いつか」は支援をする立場でもある。ただただ、生きているだけで人間は価値があるんだ。どんな悪い人でもね。私はそう信じたい。

TS3O0225
そう、「聖なる水を探す旅」なんだ。生きるということは。

何でも良いから仲良くしようぜって、抱きしめるしかない。手をつないで。

何をキャッチしているのかわからないけれど、震災前日の4月13日から私も三男も体調が悪い日が続いていて、三男は、ずっとお人形を離さないで寝ています。三男は我が家で唯一の311を経験していない人。確実に笑顔の減っている私は、子どもが不安定になったり愚図ったりする原因のひとつになっているんだと思う。

夕方、くだらないことで喧嘩をしていたチビたち。見かねて「何でも良いから仲良くしようぜ」って言って、抱きしめたんだ。彼らはすぐに笑顔になって、愛を表現しはじめたよ。

主義とか思想とか未来とかお金とか不安とか、そんなことにとらわれてるんじゃない。戦争とか人種とか国とか政治とか、そんなことにとらわれてるんじゃない。ただただ、みんなが仲良くできたらいいんだ。何でも良いから。手をつないで。

本当は、自由なんだ。自分で自分を自由じゃなくしているだけで。翼の存在を、忘れてはいないかい?閉じかかっていた翼が、また大きく開いたよ。飛び立つときは近い。

お読みいただきありがとうございます。

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